前田智徳言行録〜天才にまつわる伝説と神話を虚実取混ぜて〜 

  何が残念だと言って前田智徳のアキレス腱断裂ほど残念なものはない。
  スポーツの世界に限らずタラレバ・もし・・・が無意味なことは
  百も承知のうえであの怪我さえなければと考えてしまう。




  

インタビュー拒否
涙の逆転ホームラン

天才は天才を知る(イチロー)
前田にとってはありがた迷惑

天才は天才を知る(落合博満)
共通項は馬鹿マスコミが嫌い

天才は天才を知る(榎本喜八)
近日公開予定

新庄はライバル?
相手はメジャーの四番打者

タイトルとは
腐った争いには参加せず

審判泣かせ
もうチョッと勉強せ〜よ

打撃の極意
栴檀は双葉より

長嶋を超え落合に迫る
5000打数突破記念

神様がなんだ(予定)
なかなか筆が進まない

<番外編> カリスマ
某メルマガから無断転載

<番外編>あるインタビュー
二宮清純のページから無断転載

前田TOPへ  プロフィール  通算記録 2006全打席 2005全打席  2004全打席  2003全打席  2002全打席


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インタビュー拒否

前田伝説が語られるとき必ず最初に出てくるのがこれ。
1992年9月13日の東京ドーム対巨人戦カープリードで迎えた5回裏、川相のヘナチョコ
打球をセンター前田が後逸ランニングホームランとし、1−1の同点になってしまう。
ゲームはそのまま8回表二死一塁でバッター前田、石毛からセンターオーバーの
決勝2ランホームランし3−1でカープが勝利を手にしたが
「北別府さんに申し訳ない」と試合終了後のヒーローインタビューを拒否した。
この事件(?)を近藤唯之・二宮清純といったスポーツライターが巧みに脚色した
ことも手伝い前田ファンが激増する。
近藤氏の著書(題名は忘れた)では8回表打席に立ったときすでに
前田の目には涙が浮かんでいたとある。

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天才は天才を知る(イチロー)

1994年振り子打法を引っさげて彗星のごとく現れ前半戦を4割近い打率で
突っ走っり当然オールスターにも選ばれたイチロー(当時オリックス)は
馬鹿な新聞記者の「対戦してみたい投手は?」「誰のバッティングを見たい?」
という間抜けな質問に対し「天才と言われている前田さんの打撃を」と答えた。
前田はイチローに
「内野安打を打ってそんなに嬉しいか」と言ったとか。
この年、前田は打率.321でパウエル(中日)についで2位イチローは.385で
首位打者を獲得、ともにベストナインとゴールデングラブを受賞している。

少なくとも実績では前田をはるかに凌駕している現在のイチローは
(というより94年当時でさえ)なんであんなことを言ってしまったのかと
後悔しているはずである。
前田にしてみても迷惑な話で、イチローが活躍すればするほど
自身の現状が腹立たしいに違いない。
前田ファンとしては、もう
イチロー発言を忘れてやるのが思いやり
いうものであろう。

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天才は天才を知る(落合博満)

落合博満の場合は前田より年長でありあこがれる立場にはないので
純粋な打撃論・技術面から評価していると思われがちだが、そうではない。
単純に好き嫌いの問題である。
イチローを含めた3人に共通しているのは、ファンは大事にするが
その代弁者面(ヅラ)をするマスコミ・報道関係者はまったく馬鹿にしている
ことである。
一例が試合後のヒーローインタビュー。
間抜けなアナウンサーが「どんな気持ちで打席に入りましたか?」
答えるほうも答えるほうで「気持ちだけは負けないように」
とても脳味噌が人並みにあるとは思えない会話。

「俺は野球のプロだ。その俺が必死にプレーしてるんだ。
アンタらも話す・聞くのプロならもう少しは
取材対象を勉強して
まともなことを質問しなよ。」
ちゃらちゃらマスコミ受けを考える(マスコミに媚びる)選手が
少々の実績を残しても、落合は決して評価しない。

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新庄はライバル?

熊本工業の前田智徳と西日本短大附属の新庄剛志
ともに89年のドラフトで指名され(前田4位、新庄5位)プロ入り、
前田は2年目(91年)新庄は3年目(92年)でレギュラーとなる。

  試合 安打 本塁打 打点 盗塁 打率 Bナイン Gグラブ
前田 1140 1205 157 595 60 .3034 4回 4回
新庄 1054 955 145 518 65 .2486 2回 7回
(成績は日本球界のみ:前田2001年新庄2000年終了時点)

打率(安打数)以外は拮抗しているといえるが、前田は新庄を歯牙にもかけて
おらず、新庄のことについて訊かれると露骨にいやな顔をしていた。
俺をあんなやつと一緒にするな
ところが2001年、メッツに入団した新庄はなんとメジャーの4番を打つという快挙を
成し遂げた。(ある意味イチローの首位打者よりも凄いこと)
目立ちたがりの新庄クン、今度前田についてコメントを求められたら
何と答えるのか、前田はそれにどう反応するのか。

表を追加(2004年終了時点)

  試合 安打 本塁打 打点 盗塁 打率 Bナイン Gグラブ
前田 1512 1586 219 795 64 .3034 4回 4回
新庄 (阪神)1054 955 145 518 65 .2468 2回 7回
(メジャ)303 215 20 100 9 .2454    
(ハム)123 150 24 79 1 .2976 1回 1回
(計)1480 1320 189 697 75 .2528 3回 8回

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タイトルとは

1998年10月 横浜対広島最終戦、前田は出場を拒否した。
首位打者争いのトップを走る鈴木尚典を2厘差で追う前田を敬遠することが
予想されたため「ファンにみっともないものを見せたくない」と言い残し
球場を去ったのである。

過去にも醜い敬遠合戦は数え切れないほどあったし、盗塁をさせないための
意識的なボークや満塁での敬遠押し出し。
去年のプロ野球ニュースで、関根・大矢・土橋・江本・金村が口をそろえて
「チームの同僚にタイトルを取らせるための敬遠は当然である」と発言した。
こんな輩がプロ野球を評し論じているのだから、面白くなくなるのも当然である。

何が「タイトルの重み」かね

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審判泣かせ

前田は自分の選球眼に絶対の自信を持っているので、自らがボールと判断し
見送った投球をストライクとコールされた場合、その審判へのあてつけに
必ず次のとんでもないボールを空振りする。
拗ねているわけで、子供っぽいといえば子供っぽいが前田らしくていい。

ミスジャッヂが初球だったとすれば、たちまちツーナッシングに追い込まれるが
そんなことは意にも介さず三・四球目のウエストボールを見逃して
五球目の勝負球をライトスタンドへ放りこみ
審判をひと睨みしてから
ゆっくりとダイヤモンドを一周するあいだニコリともせず三塁ベースコーチの
差し出す手を邪魔くさげに叩きホームベースを踏むときはもう審判には
見向きもせず次打者と軽く手を合わせてベンチへ戻り指定席に腰を下ろして
舌打ちする。「へぼ審判っ」

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打撃の極意

入団3年目21才になったばかりの前田は父親ほどの年齢の新聞記者に対し
「速球投手が相手のときはね、わざとツマらせるんですよ。
そうすると打球はちゃんと外野手の前に落ちる、これが打撃の極意。」
と言ってのけた。
もちろん前田一流のジョーク、ポテンヒットを打った照れ隠しである。

ちなみにこの新聞記者が打撃の天才としてあげているのが
張本勲・榎本喜八・落合博満・イチローそして前田智徳。
さすがにベテラン記者、
正しい人選といえるだろう。
他に松井秀喜・今岡誠・谷佳知・長嶋茂雄にもふれているが
これらはタダの強打者・好打者であって決して天才ではない。

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長嶋を超え落合に迫る

前田の打数が4日の中日戦で5000を超えた。
入団以来の成績が5001打数1520安打の3割3厘9毛
これは5000打数以上の打率ランキングで7位にあたる。
1)若松勉(ヤクルト).31918 
2)張本勲(東映)  .31915
3)川上哲治(巨人) .3135
4)落合博満(ロッテ).3109
5)長嶋茂雄(巨人) .3053
6)篠塚和典(巨人) .3044
7)前田智徳(広島) .3039
以下、大下弘(西鉄)谷沢健一(中日)王貞治(巨人)〜ここまでが3割超〜
藤村富美男(阪神)榎本喜八(大毎)と錚々たるメンバーが名を連ねるが
前田本人はこんな
数字を気にも留めていないし他の選手も同様であろう。
(唯一例外はシーズン終盤には
ベンチに電卓を持ち込むのが常だった篠塚、笑)

通算安打数や本塁打数では「通過点」という表現がよく使われるが
打率の場合そうはいかないのが厳しくも面白いところ。
ちなみに前田が6000打数に到達した時点で長嶋を抜くには1832安打
すなわち次の1000打数で312安打が必要となる。打率にして3割1分2厘。
体調さえ万全なら(何かにつけこのフレーズが・・)決して無理な数字ではない。
その上の落合に追いつくには1866安打の3割4分6厘
天才前田をもってしてもさすがにこれはキツそう。
逆に1800安打に到達しないと通算打率が3割を切ってしまうことになる。

ともあれ無事に6000打数に到達することを(祈)

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<番外編>
メルマガ[まぐまぐ]★セ・リーグ君4/19投稿記事の無断転載です。

カリスマ

先日の広島・前田選手に関する投稿記事を興味深く拝見させていただきました。
満足に走れない前田選手が起用されることへの不満・怒り――ロペス選手が
とった行動も、そして広島カープファン読者様のご意見もわからないものでは
ありません。
あくまでもプロ野球であるかぎり、“勝つ”ことは最優先事項のひとつであり、
そのためにも勝つための選手起用そして試合運びが必要だとは思います。
しかしながら、もうひとつ忘れてはならないことがあるのではないかと、
僕は思います。

僕はプロ野球選手になることを真剣に夢見ていました。高校時代には37本の
ホームラン
を打ち、2球団のスカウトの方々にも視察に訪れていただきました。
しかしながら、その席上でスカウトの方々に『身体があまりにも小さすぎる。
あきらめなさい』と言われ、僕の生涯の夢は潰えました。
若いころの僕と同じように真剣にプロ野球選手になることを夢見ている少年たち
にとって、『前田智徳』という男は本当に数少ない“カリスマ”のひとりではないでしょうか。
1995年に右足アキレス腱を断裂した前田選手は、翌年3割超の打率と20本
近い本塁打を打ち、見事なカムバックを果たしました。しかし彼は、
身体のバランスをよくするために、もう片方のアキレス腱も切れることを望み、
そしてマスコミの賞賛の声に対しては
「あれは高校生が打っているんです。前田智徳というバッターは死にました」と
答えました。
前田選手は、たとえ3割5分の打率を残したとしても、たとえ40本の本塁打を
打ったとしても、決して満足しない――妥協しない“打者”です。投手との斬る
か斬られるかの真剣勝負に自らの命を賭す“打者”なのです。こんな“打者”が
今のプロ野球界にどれほど存在するのでしょう。
10年――いや、20年にひとり現れるかどうかというほどの天才打者は死んで
しまいましたが、彼の野球に対する姿勢はいまのプロ野球界にとって貴重な存在
ではないでしょうか。まったくの私見ですが、もし僕が広島カープの監督であったなら、
前田選手がたとえ2割にも満たない打率だったとしても選手起用します。
それほどの――今のプロ野球界に存在しなくてはならない――打者だと思います。
『前田智徳』という男は。
――――――――――――――――――――――――――――――「Kile」

編)…あかん。涙出て来た。
  実際にプロ野球選手を目指して頑張ってこられたKileさんの言葉は非常
  に重いですね。
  報道陣に対してはぶっきらぼうで無愛想な前田選手ですが、試合終了後も
  外野の間をランニングしている姿は、何か、こう、…男ですな。

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<番外編>あるインタビュー
スポーツ評論家二宮清純が97年春に行ったインタビューを一部無断転載
辛くて最後まで読めません(涙)


――右足の状態はいかがですか?
前田:動いてないです。

――まだ痛みは残っているんでしょうか?
前田:ウーン、痛みはもうそんなにないのですが、やっぱりまだ恐怖感が残っているので
    6分か7分の力でしか走れない。
    思い切って走ると、昨年(96年)と同じように肉離れをしたり、他の箇所を傷めそうな気がするので
    今はまだ抑え気味にやっているところです。

――まだ右足に違和感があるということでしょうか?
前田:違和感というより、まだ左右(の足)のバランスが悪いんです。
    左足ではしっくりくるものが右足にはないんです。土がついてこないとでもいうか……。

――よく掛布さんがおっしゃっていますね。スパイクで土を噛むような感覚が大切だと。
前田:そうそう、その食い付きがまだよくないんです。
        歩くにしても走るにしても、まだ右足に十分伝わってこない。

――昨シーズンと比べていかがでしょう?
前田:どうでしょうねぇ。右足の筋肉や(負荷に対する)抵抗力はだいぶついてきたと思うんです。
        でも、すぐというわけにはいきませんよ。徐々に慣らしていくしかないでしょう。

――それにしても、アキレス腱切断というプロ野球人生最初にして最大のピンチに見舞われ
       ショックも大きかったと思うのですが……。
前田:あとはもう守りに入るだけですよ(笑)。

――ショックだったでしょうねぇ。
前田:どんなに強い人でもこのショックは隠せないと思いますよ。
        でも、まあ、あんまり言うことじゃないですね。終わったから今は言えるんですけど……。

――でも悪い足を引きずりながらでも、昨シーズンは3割1分3厘というハイアベレージを残した。
      非凡さの表れだと思うんですが……。
前田:いや、あれは高校生が打っていたんですよ。

――高校生? いや高校生じゃ3割1分3厘もの打席は残せないでしょう。
前田:たまたま運がよかっただけのことでしょう。あんまりケガばかり与えちゃかわいそうだ
        というので、神様が同情してくれたんじゃないですか。そうとしか考えられないですよ。

――あれだけの好成績を残しながら、自分では納得のいくバッティングができなかったと?
前田:というより、昨年のことは全く覚えていないんです。毎日毎日、限界のところでやっていましたから。
        とりあえず、もうケガだけはせんとこうと……。

――かつてのあの剣豪のような前田智徳はもう甦らないんでしょうか……。
前田:甦らないでしょうねぇ。もう前田智徳というバッターは死にました。

「頼むから悪くならないでくれ」

――寂しい話ですね。
前田:僕も寂しいです……。結構、ショックだったですよ。

――野球を辞めようと思ったことは?
前田:辞めようというより、やめさせられるんじゃないかと思っていました。クビですね。

――弱気にもなりますよね。
前田:でも、いきがってやっていた頃もあの程度だったんですから、大してかわらないですよ。
        ただ、どうしても言い訳が多くなってくる。うまくいかないと、すぐダメだなぁと思ってしまうんです。
        以前だったら、絶対にできる、と思っていたものが、悪い方に考えてしまうんです。
       そういう意味じゃ、ものすごく弱虫になりました。

――前田さんらしくないですね。
前田:そういうふうに慰めないとしょうがないでしょう。以前は自分を鍛えていたのが
        今は自分を慰めている。これが現実です。もうこれ以上、頼むから悪くならないでくれと
        自らに言い聞かせながら耐えているんです。
        前だったら叩いて叩いて、叩きまくっていたんですけどね。

――まだ完全回復までには時間がかかりますか?
前田:それでも、元に戻ることはないでしょうね。……
        いっそのこと、もう片方(のアキレス腱)も切れんかな、と思ったこともあります。
        両方切るとバランスがよくなるらしいんです。でも今から切ったら、なおっても、もう遅すぎますね。

――神様って意地悪ですね。
前田:そう、本当に意地悪ですよ(笑)。

――この前、テレビを見ていたら、「外角のボールもレフトのライン際に流したり、落としたりするのは嫌だ。
      きっちり左方向に打ち切りたい」という前田さんのコメントが紹介されていました。
      いかにも前田さんらしい、とうれしく思ったのですが……。
前田:あれは、そういう風に聞かれたんで、ただ、そう答えただけのこと。
        でも、もう何でもいいんです。ヒットになりゃ何だっていいんです(笑)。

――随分、自虐的ですね?
前田:過去形なんですよ。確かにケガする前はそのように考えていました。
        自分でも(自分の)技術が進歩していくのが楽しみでした。
        でも、95年のあのケガで、すべてが終わってしまったんです。

――悔しいでしょう?
前田:悔しいです。ハイ。

――イチローの内野安打は許せないと言っていましたね?
     自分だったら、子の世が終わったんじゃないかと思うくらいショックだと……。
前田:確かにあれは嫌ですね。でも……もう今は何でもいいんです。
        ポテンヒットでも何でもヒットになりさえすればいいんです。

――あのケガで考え方もかわってしまったんでしょうか?
前田:というより、己を知ったんです。ケガで自分の限界がわかったんです。もうここまでだってね。

――プロ入り以来、5年間にわたってつくり上げてきたものが、一瞬にして消え去ってしまったと?
前田:そうですね。でも僕の場合、努力ははっきり言ってしてなかったんですよ。
        普通どおりのことをやっていただけ。バッティングコーチから新しいことを教わっても、すぐにできたんです。
        どちらかといえば天性でやっていたんでしょうね。神様から与えられた素質だけで。
        だから(あのケガで)すべてが崩され、もうわけがわかんなくなってしまったんです。

――それで前田智徳は死んだんだと?
前田:そうです。もう二度と甦らないと思います。

――理想の打球の追及もここまでだと?
前田:そうです。何もかももう終わりです。

――ここ一番の場面での勝負強さ、ピッチャーの投じた渾身のウイニング・ショットを
      いとも簡単に打ち返す
テクニックに、あなたの最大の魅力があったのですが……。
前田:あの頃は自分自身、野球が楽しかったし、この先、どこまで伸びるんだろう……と
        限界の見えないところに、自分自身、魅力を感じてもいました。
        難しい場面でも、打つ打たんは別にして、打つんじゃないか、打てるんじゃないかという
        気持ちは常にありました。打席に入るのが楽しみだったですよ。

後ろに重心が残りすぎる

――具体的にお聞きします。右足アキレス腱の切断はバッティングにどのような影響を及ぼしているのでしょう?
前田:シーズンが始まり、疲れが出てくると、下半身がフニャフニャになってくるんです。
        粘りがなくなるというかね。今までなら打てなくてもニ、三試合だったものが、もっと長くなるかもしれない。
        135ゲームの中の、10試合に1回くらいは休まないといけないでしょうね。

――特に夏場あたりは……。
前田:苦しいでしょうね。もう打席に立っているのがやっとという感じですもん。
        昨年もそうだったんですけど、もうピッチャーに“頼むから急いで投げてくれ”と
        言いたくなるような感じでしたよ(笑)。静止できないんです。
        微妙に動いておかないといけない。フラフラしているような気になりますよ。

――アキレス腱を切断したのは右足。つまり左バッターからすれば前足ですよね。
       軸足の左足一本で我慢するには限界がありますか?
前田:いや、反対に軸足に(重心が)残り過ぎてしまうんです。
        だからケガしてからというもの、ボールに差し込まれることが多くなってきました。

前田:以前は構えた時、6対4(後ろ足と前足)くらいの比重でバランスよく待てたんですが
        後ろ足に重心が残り過ぎるようになってからは、打ちにいこうと思っても
        もう差し込まれてしまっているので、スイング(の始動)にストップがかかってしまうんです。
        逆に早く打ちにいこうとして力を入れると、スムーズにバットが出てこない。
        “なんでこうなるんや……。ああ、でももうしょうがないのか……”そんな繰り返しですよ。

――自分自身が歯がゆいでしょうねぇ?
前田:そうですねぇ。というより情けないですよ(笑)。
        ボールをとらえた時に足に感触が伝わってこないんですから。
        ケガをする前までは持っていた、下半身で押し込んでボールを飛ばすという感覚がなくなってしまいましたね。

――じゃあ、今は上半身だけで打っていると?
前田:とりあえずゴマカシで打っているような感じですね。
        まぁ今年もやれるかどうかは、実際に生きたボールをとらえにいき
        タイミングを崩されても耐えられるかどうか、そういう時にわかるんじゃないでしょうか?

――下半身がどこまで戻っているか、ということですね?
前田:そうです。下半身の強さと粘り。といっても、これは本当に感覚的なものなんですけどね。

――なんだか寂しいですね……。
前田:僕は怖いですよ。またケガしそうで。
        もし、1年だけでも元の体でできるんだったら、僕はそちらを選びますよ。
        それだったらもう悔いはないです。

――引退を間近に控えた選手のような話ですね?
前田:いや、本当によくわかりますよ。よく引退していく人が「自分のスイングができなくなった」とか
        「今まで打てていたコースが打てなくなった」と言うでしょう。今の僕もあの気持ちですよ。
        僕と落合さん、どっちの引退が早いかでしょうね。ハッハッハッ。

――ライバルと言われていた松井やイチローを見て、どんな気持ちですか?
前田:うらやましいですわ。体が丈夫な人はいいですよ。最近、つくづくそのことを感じますね。

――守りでも不安がありますか?
前田:そうですね。ゲームに入ったら、もう咄嗟の判断になってしまいますから。
        今はまだ足に力が入ってこないんですが、逆にグッと力が入るようになった時の方が怖いです。
        同じ場所は切れないということで、今度、切れるとしたら違う場所になるんでしょうね……。

――どうか、ご自愛下さい。
前田:もう、足の機嫌をとりながらやるしかないですね。

若干後ろめたいので元記事にリンク貼っときます

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